【離婚ブログ更新】同居したことのない夫婦間の婚姻費用分担義務

こんにちは、弁護士の狩野です。

離婚ブログを更新しました。
同居したことがない夫婦間において、妻から夫に対する婚姻費用分担の申立てが認められるかにつき、原審と抗告審の判断が分かれた事案です。
原審はこれを否定し、抗告審はこれを認めました。

両者の判断が分かれた理由は、婚姻費用分担義務の考え方につき、原審は、夫婦の同居・協力関係の有無という事実状態にも着目したのに対し、抗告審は、婚姻関係という法律関係から生じるものであって、そのような事実状態から生じるものではないとした点にあると考えられます。

また、夫婦の関係につき、原審は、「十分な交流を踏まえていれば、そもそも当事者間で婚姻が成立することはなかった」と認定している一方、抗告審は、婚姻届け提出前後の夫婦の交際関係を詳細に認定した上で、「婚姻関係の実態がおよそ存在しなかったということはできず、婚姻関係を形成する意思がなかったということもできない」などと判断しており、この点でも判断が異なっていると思われます。

原審の判断はこちら → https://y-kano.com/archives/362

抗告審の判断はこちら → https://y-kano.com/archives/399 


カテゴリー: 婚姻費用, 離婚