【離婚ブログ更新】事実上の離婚状態にある配偶者は、中小企業退職金共済法に基づく退職金等の支給を受ける配偶者には当たらないとされた事例
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カテゴリー: 未分類
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調停条項を定めれば終わり、ではありません。
その条項の文言が何を意味するのか、明確に定義づけをしておかないと、新たな紛争を招いてしまうということを示す事例です。
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こんにちは。弁護士の狩野です。
離婚ブログを更新しました。
離婚はしたいけど、弁護士を頼むと費用がかかる。
当事者同士で話合いが成立するなら、弁護士を入れなくてもいいのではないか。
そんなふうに思われる人も多いと思います。
多くの場合、それで問題がないことが多いのだと思いますが、この事例では、原告が、夫婦の間のメールのやり取りで財産分与契約が成立したとして、その契約に基づく支払を求めたところ、裁判所は、そのような契約は成立していなかったとして、財産分与に関する原告の請求を全て棄却しました。
当事者同士で話合いができたとしても、将来においてもその約束が守られるとは限りません。
約束が守られなかった場合にどうするかについても、あらかじめ検討しておく必要があります。
そのようなときにはぜひ、弁護士を頼ってほしいと思います。
離婚ブログはこちら → https://y-kano.com/wp-admin/post.php?post=413&action=edit
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こんにちは、弁護士の狩野です。
離婚ブログを更新しました。
同居したことがない夫婦間において、妻から夫に対する婚姻費用分担の申立てが認められるかにつき、原審と抗告審の判断が分かれた事案です。
原審はこれを否定し、抗告審はこれを認めました。
両者の判断が分かれた理由は、婚姻費用分担義務の考え方につき、原審は、夫婦の同居・協力関係の有無という事実状態にも着目したのに対し、抗告審は、婚姻関係という法律関係から生じるものであって、そのような事実状態から生じるものではないとした点にあると考えられます。
また、夫婦の関係につき、原審は、「十分な交流を踏まえていれば、そもそも当事者間で婚姻が成立することはなかった」と認定している一方、抗告審は、婚姻届け提出前後の夫婦の交際関係を詳細に認定した上で、「婚姻関係の実態がおよそ存在しなかったということはできず、婚姻関係を形成する意思がなかったということもできない」などと判断しており、この点でも判断が異なっていると思われます。
原審の判断はこちら → https://y-kano.com/archives/362
抗告審の判断はこちら → https://y-kano.com/archives/399
こんにちは、弁護士の狩野です。
離婚ブログを更新しました。
今回は、調停成立前に夫が支払っていた婚姻費用が、調停で決められた婚姻費用よりも多額だった事案で、夫が妻に対し、不当利得返還請求を求めるなどした事案です。
裁判所は、「夫婦間の婚姻費用の分担額については、当事者間での協議ないし調停により具体的な金額が定まって、はじめて、一方が他方に具体的な請求権を有することになるのであり、それ以前の婚姻費用については、それぞれが支出した費用がそのまま婚姻費用として夫婦生活に必要な支出に充てられるというべきである」として、夫の調停成立前の過払い分の返還の主張を認めませんでした。
詳細はこちらです → https://y-kano.com/archives/386
こんにちは。弁護士の狩野です。
こちらの更新がだいぶ滞っていましたが、この度新たに、離婚専門サイトを立ち上げました。
定期的に、離婚や不貞に関する審判例、裁判例に関するブログを更新していく予定です。
離婚には、結論についてかっちりと決めた法律などはないので、類似事例について裁判所がどのような判断をしているのかを知ることは、とても重要な情報収集だと考えています。
よかったら見てみてください。
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最新記事はこちらです → https://y-kano.com/archives/368
カテゴリー: 離婚
こんにちは。弁護士の狩野です。
ここまで、財産分与と、その中でもよく問題となる特有財産についてみてきました。
これにより、離婚をするとなった場合に夫婦で分ける財産として、何が、どの程度あるかについて、おおまかなイメージが持てるようになったと思います。
そのイメージが持てるようになったら次は、離婚後の生活を更に具体的にイメージしてみましょう。
どこに住み、どのような生活を送りたいのか。そのための生活費はどの程度かかりそうか。
そうすると、財産分与の対象となる財産のうち、どの財産を、どの程度自分のものにしたいのかという自分の希望が具体的に見えてくると思います。
ここまできたとき、冒頭でお伝えした、「自分の立場が有利なのか不利なのか」という視点が、大きく利いてきます。
ここでまず、財産分与について、もう少し掘り下げてみたいと思います。
財産分与には、3つの要素または意味があるとされています。
1つは清算的要素、もう1つは扶養的要素、残りの1つが慰謝料的要素です。
これまで、財産分与については、「結婚するときに一緒になったものは離婚するときに分ける」という表現を使ってきました。この表現が意味しているものは、1つ目の「清算的要素」です。
財産分与の3つの要素または意味のうち、最も大きなウェイトを占めるのが、「清算的要素」です。
イメージで言うならば、まずは清算的要素という視点で夫婦の財産を大まかに分け、扶養的要素と慰謝料的要素で修正をしていくというと分かりやすいかもしれません。
今回は、この「清算的要素」について考えてみます。
清算的要素は、その言葉のとおり、夫婦の財産関係を「清算」、つまり、夫婦が2人で財産を共有している状態を解消することを目的としています。
この場合、原則として、婚姻期間中の夫婦の協力関係は同程度であったと考えて、財産を2分の1ずつ分けることになります。
このことは、夫婦の一方が専業主婦・専業主夫であったとしても、基本的には同じです。
なぜなら、夫婦の一方が外で稼ぐことができたのは、もう片方が育児や家事を担ってくれたお陰だと考えられるからです。
また、たとえ相手に不倫をしていたなどの事情があったとしても(このような配偶者を「有責配偶者」といいます。)、やはり財産を分ける割合は、基本的には2分の1と考えます。
というのも、清算的要素という視点で財産分与を考える場合には、相手が有責かどうかという事情はいったん措いておくからです。
このように、「清算的要素」は、「夫婦の共同の財産は、夫婦が同程度協力し合って作り上げたものなので、分け方は2分の1とする。」とする考え方です。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここから本題です。
このように、財産分与は基本的には2分の1の割合で分けることになります。
しかし、あなたの立場が有利だった場合には、少し話が違ってきます。
ここで復習ですが、「あなたの立場が有利」というのは、法的に言えば「離婚事由がないこと」を意味します。もっと簡単に言うと、あなたの方に「離婚されても仕方がないよね。」と指摘されるような落ち度がないことです。
このような状況で相手から離婚を求められた場合には、あなたは、「離婚に応じてもよい。そのかわり、2分の1以上の財産が欲しい。」、「離婚に応じてもよい。その代わり、夫婦の財産のうち、これとこれは私のものにしたい。」と主張しやすくなります。
なぜなら、相手にとっては、あなたに離婚に応じてもらえない以上、離婚が成立しない可能性が高いからです。
言い換えれば、相手としては、できるだけ早く離婚を成立させるためには、あなたの要望を多少無理してでも聞き入れようと思う状況にあるのです。
今回は、財産分与の意味合いについて、掘り下げて考えてみました。
ただ、相手によっては、清算的要素の意味や、立場の有利・不利の意味を十分に理解しておらず、一方的に高圧的な態度で不公平な財産分与を主張してくる人もいます。
そのような場合には、当事者同士で話し合ってもなかなか着地点は見いだせないでしょうから、弁護士を入れて、専門的な立場から相手を説得することも考えた方がよいでしょう。
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こんにちは、弁護士の狩野です。
さて、ここまでの復習です。
離婚が頭をよぎったとき、まずは自分の立場が有利か不利かを知ることが大事とお伝えしました。
その上で、仮に離婚した場合に問題となる財産分与について、お財布と住居という観点から考えてみることを提案しました。
今回は、この「お財布と住居」について、より詳しく見ていきたいと思います。
そう、離婚について調べ始めたら必ず耳にするであろう、「特有財産」についてのお話です。
以前の記事で、財産分与は、結婚するときに一緒になったものを分ける作業であるとお伝えしました。
この「一緒になったもの」というのは、より正確に言うと、「夫婦で一緒に作り上げたもの」を意味します。
たとえば、婚姻後に口座を作り、そこに毎月、夫婦が同額ずつ入金していたとします。
これは夫婦で作り上げた財産です。この口座残高は、夫婦の共有財産として、離婚の際には夫婦で分ける、すなわち財産分与の対象財産となるのが原則です。
他方、たとえばあなたが結婚前に何年もかけて一生懸命貯めた預金があるとします。ところが結婚後間もなく、相手の浪費癖が判明し、数か月で離婚することになりました。
このとき、「結婚した以上は、あなたの預金の一部は相手のものになる。」と言われたら、あなたは納得がいかないはずです。
「この預金は、私一人の力で貯めたものなので、相手に分ける義理はない。」あなたはそう言いたくなるはずです。これを法律上も根拠のある主張とするための理屈が、「特有財産」です。
すなわち、特有財産とは、あなた自身の財産であり、離婚によっても相手に分ける必要がない財産のことを言います。
このように、ある財産が特有財産になるかどうかということは、離婚に際して相手に分ける必要があるか否かという点で、とても重要な問題です。
ここまでで、特有財産がどういうものかというイメージは、なんとなくついたと思います。
そこで次に、どのような財産が特有財産になるのかについて考えてみます。
特有財産には、大きく分けて2種類あります。
1つは、2で例に挙げたような、婚姻前からあなたが持っていた財産です。
もう1つは、婚姻後に、あなたが単独で取得した財産です。
それぞれどのようなものかを、次で見ていきましょう。
なお、特有財産の3種類めとして、「夫婦で特有財産とすることに合意した財産」というものもあります。たとえば「夫名義の預金は夫の特有財産、妻名義の預金は妻の特有財産にする。」と夫婦で合意することにより、預金をそれぞれの特有財産にすることができます。もっとも、この場合には夫婦間で争いが生じることはないと思われますので、ここでの説明は省略します。
まず、「婚姻前からあなたが持っていた財産」についてです。
たとえば、婚姻前にあなたが自分で貯めていた預貯金、婚姻前にあなたが買った財産が典型的です。
また、婚姻前にあなたが自分で貯めていた預金を使って、婚姻後に買った財産も、特有財産になります。
さらには、特有財産である預金から発生した利息も、特有財産です。
要は、「あなたがその財産を取得するに当たって、相手の協力があったか」という点がポイントです。
ですから逆に、あなたが婚姻前から貯めていた預金と、婚姻後に相手からもらったお金を足してある財産を購入したとすれば、その財産の一部は特有財産、残りは夫婦の共有財産ということになります。
次に、「婚姻後にあなたが単独で取得した財産」について見てみます。
典型例は、婚姻後にあなたが自分の親から譲ってもらった財産や、婚姻後にあなたが親族から相続した財産です。
ポイントはやはり、「その財産をあなたが取得するに当たって、相手の協力があったか」という点です。
あなたが親から譲られたり、相続した財産は、相手の協力がなくてもあなたが取得した財産であるため、特有財産となります。
今回は、特有財産について簡単に説明をしました。
ある財産が特有財産になるかどうかによって、財産分与の金額が大きく変わることがあります。
また、ある財産について「一部は特有財産だが、残りは共有財産である」と判断されることもあります。
このように、特有財産は重要な考え方である一方、複雑な性質も持っています。
そのため、もし特有財産かどうかについて迷うことがあれば、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
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こんにちは、弁護士の狩野です。
ここまで、離婚する場合に問題となる「財産分与」について、
お財布と住居という観点から考えてみるとよいことをお伝えしました。
その上で前回は、
財産分与のうち住居について、
今あなたが住んでいる家が持ち家である場合を考えてみました。
今回は、今あなたが住んでいる家が、
賃貸である場合について考えてみます。
なお、離婚が成立するまでには多くの問題を解決していく必要があります。
そのため、今、自分が何について考えているのか、ときどき確認していくのがよいと思います。
今あなたが住んでいる家が賃貸の場合、
夫婦で分けることになる財産、
すなわち財産分与の対象になる財産は、
何でしょうか。
賃貸物件自体は、当然ながら貸主の財産です。
したがって、貸主から家を借りて住む権利、すなわち「賃借権」が財産分与の対象です。
もし夫婦ともがその家に住むつもりはないということであれば、賃貸借契約を解約します。
解約時に敷金が戻ってきた場合には、これについて財産分与を考えることになります。
もし夫婦の一方がその家に住み続けるのであれば、
住み続ける人が財産分与として賃借権を取得します。
この場合、持ち家であれば代償金の問題が出てくるところです。
もっとも、賃貸物件の場合、賃借権自体の市場価値は考えにくいのが通常です。
そのため、「賃借権をあなたにあげます。賃借権の価値は〇円なので、
その分、私がほかの財産をもらいます。」という主張は、
法的には説得力のない主張になります。
ただ、家から出ていく方には引っ越し費用がかかることがあると思いますので、
引っ越し費用分のマイナスを財産分与で考慮してほしいと主張することが考えられます。
夫婦の一方が離婚後も同じ賃貸物件に住む場合、注意したいのは、借主の名義変更の点です。
たとえば、もともと夫名義で建物を借りていたとします。
離婚に伴いあなたがその家に住み続けることになりました。
この場合、法的には、賃借権が夫からあなたに譲渡されることになります。
家の貸し借りは通常、貸主が借主の経済力などを信頼できると判断した場合に行われています。
そのため、借主が賃借権を勝手に第三者に譲り渡すことを認めると、貸主は困ってしまいます。
ですから、賃借権を勝手に譲り渡した場合には、貸主が賃貸借契約を解除することができるとされていることが多いのです。
ただ、離婚に伴って賃借権を他方の配偶者に譲り渡す場合には、
賃貸人から承諾をもらう必要はないという考えもあります。
とはいえ、賃貸人から、「夫が勝手に妻に賃借権を譲り渡した。」として、
賃貸借契約を解除すると主張してくることも考えられます。
そのような事態を避けるために、事前に賃貸人に承諾を得ておくのが安全でしょう。
なお、住んでいる家が公営住宅の場合には、元夫婦間とは言え、勝手に借主を変更することは原則として許されていません。
ただ、この場合でも、自治体から許可が出れば借主を変更できる場合があります。
公営住宅の場合には、事前にこの点についても調べておくとよいでしょう。
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こんにちは、弁護士の狩野です。
離婚するのかしないのか。
前回は、これを決める前の準備として、離婚した場合に分けることになる「お財布」についてお伝えしました。
離婚した場合に夫婦で分けることになる財産、つまり「財産分与」の対象となる財産には、お財布のほかにもう1つ、「住むところ」があります。
今回は、この住居の財産分与について考えてみます。
離婚すると仮定した場合、あなたは今住んでいる家に住み続けることを希望しますか。
あるいはそこを出て、別のところで生活することを希望しますか。
住み慣れた家から離れたくないとか、子どもを転校させたくないとか、あるいは引っ越して心機一転別の場所で生活したいとか、あなたなりのご事情があると思います。
まずはその気持ちを大事にしてください。
その上で、どうすればその希望は叶うのか、叶わないとしても次に良い方法はないのかを考えていくとよいと思います。
では、どのように考えていけばよいでしょうか。
まず、あなたが今住んでいる家が、持ち家の場合です。
この場合、財産分与の方法として、
家を売却して利益を相手と折半する方法
相手が家を取得し、あなたが家の評価額の半分程度を現金などでもらう方法
などが考えられます。
相手がこれらの方法に同意するならば、家の名義が誰であるかは、さほど問題になりません。
また、住宅ローンが残っていたとしても、売却代金で完済できる額ならば、問題ありません。
なお、オーバーローン(家の時価よりも、住宅ローンの残債務の方が多い場合を言います。)の場合には、家を売却した後に残った住宅ローンの負債をどうするかという問題が生じますが、少し細かい話なので、ここでは割愛します。
この場合、住宅ローンについて考える必要があります。
あなたがその家を取得し、その家に住むことになります。
もっとも、家を取得する分、そのほかの財産を相手に分ける必要があります。
たとえば、家の価値が1000万円で、そのほかに夫婦の財産がないとします。
財産分与を2分の1ずつとすると、あなたは1000万円の家を取得する代わりに、500万円を現金などで相手に渡す必要があります。これを「代償金」と言います。
このように、代償金を用意できるかという問題が発生します。
家の所有者・住宅ローンの借主名義人が誰かという点と、あなたの支払い能力が重要です。
なお、オーバーローンの場合には考え方が異なるため、オーバーローンではないことを前提とします。
あなたが家に住み続けることは、代償金の問題がクリアできれば、認められそうです。
この場合の代償金は、家の評価額から住宅ローン残高分などを差し引いた分について問題となります。
住宅ローンの名義人を変更するためには、貸主側である金融機関の同意が必要ですが、簡単には同意してくれないのが実情です。
そして、あなたが一人でローンを支払っていくことが難しいようであれば、あなたがその家に住み続けることは難しいかもしれません。
他方、あなたが一人でローンを支払っていけるようであれば、あなたが家を取得してその家に住み続けることも可能です。
この場合、住宅ローンの名義は相手のままですが、実際にローンを払うのはあなたということになります。
これを「重畳的債務引受」や「履行引受」と言います。
また、この場合、家の所有権登記をいつあなたに移転するかという重要な問題も出てきます。
住宅ローンについて、「連帯債務の内部分担を明確にする」ということが必要になってきますが、やや難しいのでここでは割愛します。
さて、最後の方で、難しい法律用語が出てきてしまいました。
実際に、住宅ローンのある家については、今後のローンの支払い方法や所有権移転登記の時期をどうするかなど、慎重な判断が必要な問題があります。
判断に迷うような問題が出てきた場合には、弁護士に相談するのがよいと思います。
次回は、家が賃貸だった場合について、お話しします。
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